データの境界

なんちゃって理系がデータ分析業界に入ってからの汗と涙の記録。

島根でも外国人観光者は増えているのか? - Seabornで宿泊客数をイイ感じにざっくり可視化する

「データ可視化」に思うこと

どんなに興味がないデータについてであっても「図がかっこいい」だけで「ちょっと見てみようかな」と思えます。

「見た目より中身でしょ」と言われるが、個人的には同じくらい重要だと思うので可視化スキルは大切にしたい。いや、そもそも興味が持たれにくい内容なら「見た目」を超かっこよくしないことには始まらない。インフォグラフィックとかも流行ってるし。

そんなわけであまりコーディングに癖がなくお手軽にかっこよい図が書けると話題のSeabornを触ってみました。@hik0107さんにはいつも超お世話になってます。

Seaborn: statistical data visualization — seaborn 0.6.0 documentation

 

可視化するネタと確かめたいこと

今回は島根県が公開している「島根県観光動態調査結果」のデータを使います。データには県内のどの場所にいつ・どれくらいの人が訪れたかなどの数字が並んでいます。

調べたいこととしては、「年ごとにどれくらい宿泊者数が増減しているの?」「月ごとに見ると宿泊者が多い人気の月があるの?」みたいなことです。

また、最近「日本への外国人観光者が激増している」という記事やテレビ番組をよく見ますが、都会から遠く離れた島根県への観光者(宿泊者)も増えているのか調べてみます。

本当は「観光者数」を調べたかったのですが、公開されているPDFの形式ではデータをプログラム処理する過程でいろいろ面倒だったので、まだ取り扱いやすかった「宿泊者数」を対象にすることにしました。

 

可視化結果

(書いたコードはこちら

外国人観光者の数が気になりますが、まずは「県内全体」の宿泊者数についてです。

まず、ざっくりと毎年の宿泊者数の推移を見てみます。

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縦軸は2008年〜2014年を、

横軸はその年のトータルの宿泊者数を表してます(meanとなってますがtotalです)

2013年から少し上がってる感じですね。じつは2013年は出雲大社平成の大遷宮」の効果によって観光者が伸びた年です。「平成の大遷宮」が終わった2014年は微減しているもののそこまで大きく落ち込まずに持ちこたえています(※この点に関しては文末に追記)

 

次に、各年における月ごとの宿泊者数推移を可視化しました

 

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横軸は1月〜12月を、

縦軸は宿泊者数を、

それぞれのプロットは2009年〜2014年を表しています

 

この図からは、

  • どの年も毎年8月に宿泊者数が最も多い
  • どの年もおおよそ同じような傾向で宿泊者数が増減している

ことなどがわかります。

 

同じデータをヒートマップでも表してみました。

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それぞれのセルの数字は当月の島根県内の宿泊者数を表しています。

青が濃いほど宿泊者数が多かったことを表しています。

 

最初の図と、この図を含め結果を整理すると

  • 8月がどの年も一番宿泊者が多い(お盆休みの影響っぽい)
  • 5月も多そう(GWの影響っぽい)
  • 8月、5月などの大型連休が存在する月を除けば、10月11月は5月並に宿泊客が多い。意外な島根の旅行ハイシーズンなのか?(紅葉のシーズンとか?、3連休の利用とか?) 神在月の存在をわすれてました...
  • 2013年は宿泊者数増(参照元データによると①出雲大社平成の大遷宮」の効果による増、 ②松江自動車道全線開通の効果による増により大きく宿泊者数が伸びているそうです)

みたいなことが読み取れます。

 

余談ですが、こうしてみると日本の休日の一極化問題みたいなものがよくわかります。

GWやお盆休みに集中して怒涛の移動を行う「休日の一極化問題」は、星野リゾートの星野佳路氏などが日本の観光業の問題として良く指摘されています。もしも、GWなどを県ごとにずらして取得することなどが可能になれば、比較的旅行者が少ない12,1,2,6月などにも旅行者を分散でき、旅行者にとってはよりリーズナブルに旅行でき、旅行業界にとっても一年を通じて安定的に営業することが可能になるかもしれないという話です。

夏や秋など外に出たくなる季節に旅行者が増えるというような季節性による増減はありますが、「GWやお盆休み」だけに集中するという今の日本の旅行傾向はやはりかなり歪な感じです。

 

島根への外国人宿泊者は増えているか?

「島根への旅行者は増えているか?」ですが、ここまで書いて思ったんですが、2014年分までしかデータがないので最近の話はできませんね!というわけで2014年までの結果です。※すみません

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2008年がやたら多い感じがするのがナゾですが、2014年も前年と比べ増えてます。

2013年は増減が見られないことから、外国には平成の大遷宮」パワーが届いていなかったぽいですね。

 

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外国人宿泊者には特定の月の増減などはみられないようです。(なんだか毎年6月に下がっているような気もしますが...)

グラフの形も特に年ごとに傾向があるような感じはないですね。

 

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ヒートマップで見てみると、やはり特徴的に濃く色がでているところもなさそうな感じです。バラバラです。それでも、4月は例年少し多いような感じもします。

 

というわけで、 「島根への外国人宿泊者は増えているか?」についてまとめると、

  • まだデータ公開されていないので最近は話はわからん!
  • でも2014年は前年比1.2倍(+5000人ほど)増えてる
  • 外国人宿泊者に特定のハイシーズンなどはなさそう(傾向的には4月が少し多い感じもある)

 

P.S

「宿泊者数」ではなく「観光者数」でみると以下の様な増減になっているらしい。

参照: 平成26年観光動態調査結果

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宿泊者数は2013年(平成25年)と2014年(平成26年)を比較してほとんど減少が無かったですが、観光者数では結構下がっています。このことから「近隣県の日帰り観光客」は減ったが、「宿泊が必要な遠方の観光者(?)」はまだそこそこいるっぽい可能性が予想されます。

平成の大遷宮」が終わってしまい「今後の島根観光が危うい」という気もしますが、旅行中に落とすお金は明らかに「遠方の宿泊観光者」が多いので、「観光者は減ったが宿泊者はそれほど減っていない」現状をみるとまだ戦えそうな気もします。

東京から島根へ運行する夜行列車「サンライズ出雲」も、金曜の夜は会社上がりのOLっぽい女性で大賑わいらしいです。島根の観光はこれからどんどん県外に打って出ると良い成果を得られるかもしれないですね(もちろん、このデータだけではただの妄想ですが。)

 

 

参考

qiita.com

qiita.com

myenigma.hatenablog.com