データの境界

なんちゃって理系がデータ分析業界に入ってからの汗と涙の記録。

羽田空港の分析官が教える、「改善のために小難しい分析は必要ない」という話

会社の人が「データ分析はかくあるべし」とお墨付きをしていたので読んでみた

www.itmedia.co.jp

 

約三行要約

  • 世界の大手航空会社36社のうち、JALが「定時通りに着く航空会社」としてトップらしい(非遅延率 約90%!)
  • 特に日本最大の空港である羽田空港では、「人が飛行機に乗り遅れる」ことで発生する発進遅延を細かく調査し日々改善を繰り返している
  • 改善の一例:発進遅延が特に多いのは「朝の便」で、現場でお客さんの行動を観察していると、どうやら「朝ごはんを買う人」によって起こって遅延が起こっているようで、それに対して「搭乗口を売店に近い位置に変える」ことで見事に改善した
  • それでも「ほぼ毎回発進が遅れる便」というのもまだ存在するらしく、今後も詳細にお客さんとその行動を分析し施策をうっていくとのこと

感想

このリンクを紹介していた人は以下のようなコメントをされていた。そのとおりだと思う。

凝ったことするのがデータ分析だ、データドリブンマーケティングだ、と思い込んでるお客さんがすごく多い気がするので、素朴なことでいいから、こうやって施策に結びつけること+改善サイクル回すこと前提で分析に取り組んで、かつ成果も出してるってのは素晴らしい。 

 どんどん改善の施策をうっていくことは非常に大切。世の中的にはこれを「高速にPDCAを回す」という言い方をするが、そんな業界用語を使わずとも「とにかく変化を起こさなければ何も起こらない」ことは誰でも知っている。

データ分析官としてもどかしいと思う瞬間は、いろいろな施策を考えても実際にそれが施策として実施されないこと。「施策がイマイチだからやらない」ならわかるが、そうではない「大人の事情」でアクションができないことが多いようにも感じる。大人の事情は外部の分析会社からは口出しできない部分なので、「分析して施策提案して終わり」ということも起こる。

その点、この記事のように、組織内部の人が分析(現象の理解・解釈)を行い、組織内部で施策を実施するというのはシームレスで、かつ責任のよりどころもはっきりしているので読んでいて素敵だと感じる。「施策の実施による改善」こそが全てで、「大人の事情」を屈服させるような小難しい分析は必須ではない(もちろん人工知能も必須ではない)。

日々の観察・日々のデータの集計・事象の理解/解釈をきちんと行えば簡単でも打てる施策はきっとあるよね、ということを改めて教えてくれる記事でした。

まぁ、ただ、「施策の規模の大きさ」と「実施根拠の高尚さ・小難しさ」みたいなものを吊り合わせたいと思う人間心理もわかる。。。