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データの境界

なんちゃって理系がデータ分析業界に入ってからの汗と涙の記録。

VR世界で生活し子孫を残さなくなった人類は"Gene"ではなく"Meme"を残す

6月30日にこんなイベントに参加していました。

eventdots.jp

ちなみに個人的には、VRは昨今のバスワード四天王「IoT」「VR/AR」「ドローン」「人工知能」の中では2番目に好きです(ドローン > VR/AR > 人工知能 > IoT)

 

出演者はこんな方々。面白くないわけがない。金曜日の夜だけど馳せ参じました。

・株式会社gumi 國光 宏尚 氏
・株式会社UEI 清水 亮 氏
・VENTURE REALITY FUND Tipatat Chennavasin 氏
東京大学大学院 稲見 昌彦 氏

 VRの話がメインなんですが、ご多分に漏れず人工知能にも言及されてました。最近はどのIT系イベントでも絶対に人工知能の話になりますねー。

 

パネルディスカッションはストーリーラインもあったような気がしますが、いろいろ話が飛んだり戻ったりした印象なので、個人的に面白かった点をつまみ食い的に箇条書きします。

 

 ・VRの"シュミレーション酔い"はデバイスではなくコンテンツのせい

頭を向けたスピードと追随する映像にズレがあれば脳の認識にズレができ"酔う"状態になる。それがシュミレーション酔い。少し前のデバイスではこうした酔いの問題もあり、それを解決するための研究も行われていたらしいが、近年のデバイスでは映像追随のラグもほぼ無く酔いの問題はほぼ無いらしい。酔いが発生するとすればむしろコンテンツの影響が大きいらしく、例えるなら一昔前の「ポリゴンショック」のような話で、デバイスである「テレビ」が悪いわけではなく「コンテンツ」が悪い。

 

・報道にも活用されるVR

VRの利用用途にはエンタメ(ゲーム)コンテンツばかりが紹介されるが、報道・ジャーナリズム分野でもVRが作成されている。紹介されたのはVRで作製されたシリア難民についての有名なドキュメンタリー。

(プレゼンテーション)スライドには現状を数値や背景をもとにきちんと理解させる力。そしてVRにはそれを”体験”として届ける力があります。 (引用元ブログ)

www.youtube.com

 

・ヘルスケアにも使われるVR

その高い没入感・疑似体験感覚を活かして、例えば「高所恐怖症」の人に実際に"高所"コンテンツVRを体験してもらうことで克服する治療(?)も実際に行われている。毒をもって毒を制すというか習うより慣れろ的な感じか。。。同様に、大勢の人前で話すのが苦手な人向けのVR体験などもあるらしい。なるほど。

Gear VRを活用した高所恐怖症克服トレーニング - 人生をxにするたったn個のy

 

個人的にユニークだと思ったのは、VRによる鬱病緩和。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とバルセロナ大学の先端研究機関の共同研究として実施されたVRセラピープログラムでは、まず参加者は自身のアバター(分身)を作り、取り乱している子供を優しく慰めて落ち着かせる。次に、子供の視点から、その過程を追体験する。このプログラムは、参加者が自己批判を抑制し、自分を肯定する心を育めるよう設計されている。

「不安やうつと戦っている人は、何かがうまくいかないときに自分を過度に責める傾向がある。まず子供を慰め、その言葉を後から自分で聴くことで、患者は間接的に自分自身を癒すことができる。患者のうち数人は、現実世界で起きることを以前に比べて肯定的にとらえられるようになったと報告した」と説明した。 (引用ブログ

「自分が他人を慰めるために掛ける言葉を自分自身が体験する(聞く)ことで自分を許せる(肯定する)心理作用が高まる」、という理屈はなんとなくわかる気もする。。。他人の視点を高い没入感で体験できるVRならではの手法ですね。

 

・最悪、VRは小型化しなくてもよい

「VRはデカすぎる」「首が疲れる」「つけてる姿が不格好だ」「メガネサイズまで小さくなったら使う」という意見があるがおそらくそこまでヘッドマウントデバイスが小型化しなくてもみんなが楽しむ時期は来ると思う。『だってあんなに重くて不快なスキーブーツを履いてでもみんなスキーするでしょ?』

 

・VRによって「モノ」よりも「体験」が重要な時代がくる

これまでの「豊かさ」を表す指標は「何を持っているか」だった。家、車、時計、iPhone、PCなどなど。しかしこれからは何を持っているかよりも何を体験したかが重要になる。Material societyよりもExperiential societyになればみんな幸せになるのではないか。

 

・まだあまり盛り上がっていないけどこれから流行りそうなのは「3Dクリエイション」

3Dプリンターがようやく有名になってきたけど、ここまで技術が発達してもまだすべての人が自由に3次元的な物を作り出せる時代ではない。なぜなら3Dでものを作る道具がまだほとんどないから。VRの中では簡単に3次元的な物を作り出せるようになる。Tilt Brushのような体験はその人の価値観をかなり変えるだろう

www.youtube.com

 

・VRは「産業革命」ではなく「文化革命」もしくは「Experimential revolution」

↑上記のような話から。

 

・今VRデバイスを買うならHTC Vive一択!

清水亮氏いわく。

https://www.htcvive.com/jp/

ただし、現状でているゲームはほぼ全部クソゲー。とにかく驚かせる系ばかり。VRである必要がないコンテンツがほとんど。今後に期待。

 

・VRの真骨頂は「コミュニケーション」

VRの中のキャラクターとのコミュニケーションが未来のコニュニケーションの形。そういった意味では、キャラクターの姿をした対話型人工知能が最強。VRと人工知能の世界は交わっていく。Limitlessという米企業はVRキャラクターにAIを載せて人と感情的に話せるシステムを作っている。AIを使ってキャラクターとコニュニケーション出来るようにする。こういったビジネスは今後増えそう。AIがVR世界をリアルにし、AIはVR世界の神になる。

www.prweb.com

 

・VR世界上で人類が生きていかない理由がない(みんなVRにいく)

仮に、超快適なVRの世界が出来上がったとして、それでもヒトはリアルな世界で働き、恋愛し、生活するだろうか。いや、きっとVRの世界にみんながいくだろう。

改めて人間が生きる意味とは?

達成感?成長?他者とのコミュニケーション?子孫を作り次世代につなげる?

達成感や成長はVRの世界のほうが余程上手く得ることができる。それこそロールプレイングゲームをするように。リアルな世界では全員が成功者となり達成感を得ることは難しいがVRの世界では可能。それはニセモノの達成感か?人口のある一定以上がVRに住み着くようになればVR世界での達成や成長もホンモノと同じように評価されるのでは?それこそ、ネットの上だけで活動するYouTuberが現実世界でも「成功者」と呼ばれるように。彼らをそう呼ぶかどうかは個人の価値観によるが、VR世界の活動だけでも現実世界で働かず十分なお金を稼ぎだせるヒトがもっと増えれば、そういった人たちをバカにすることもできなくなる。つまり、VR世界上でお金を稼ぎ、他者とコニュニケーションし、生活し、恋愛をする人達はたくさんでてくる。血を分けた子供でなくても、自分のことを好きでいてくれる人と見分けがつかないAIが一緒にいてくれればそれでいいと言う人もきっと少なくない。サマーレッスンの女の子とずっと一緒にいれればいいんや!みたいな。そのころにはご飯だってドローンが自宅まで運んくれる時代かも。

 

・人間はGeneを作って伝えるのではなく、Memeを作って伝える存在になる

じゃあ子供はどうするか?子孫を残さないヒトはもはや社会にとって迷惑なだけなのか?そういう未来が来た時は、人間はGeneを作って伝えるのではなくMemeを作って伝える存在になっているだろう。"文化"を残す存在。「そんなやつはいない!」といいたくもなるが、考えてみれば、「人間は100年でいなくなるが、自分が創業した会社と名前は何百年も残り続けるから起業した」という起業家もいるし、「論文のfirst authorとして科学史に名を残したい」という研究者はたくさんいるし、「自分の名前をググった時に自分自身のSNSやブログ、wikiがトップにでてくるようにした」みたいなことを熱心に目指している人達もいる。血を継ぐ祖先を作らなくても、自分が命を賭けた領域、もしくは”どこかしらに” 自分が生きた証を残せれば満足だという人達はきっと少なくない数存在する。今のように、何も成さず何も残さず人知れず死んでいく"普通の人達"からすれば、自分のVR上での活動ログが広義のMemeとして恒久的に保存され、何かのきっかけで誰かに参照される日がくるかもしれないのならばそれはそれで素敵なことなのかもしれない。

 

・結局、人間はどんな状況でも適応し生きていく

VRで人生の殆どを過ごし、あまつさえ科学技術が進化して不老不死でも獲得しちゃった日には人類は何をモチベーションに生きるのか?

食糧を得るための狩猟生活から開放されたはずの人間が"趣味として"ハンティングするように、労働力の機械化によって肉体労働から開放された人間が"趣味として"スポーツやマラソンをするように、死から開放された人間も何かしらまた楽しみを創りだして生きていくのでしょう。