キュウリの次は「岩盤の硬さ」 TensorFlowでトンネル岩盤評価!
前回の「TensorFlowでキュウリ識別」に続く大好物系のお話。 今度はまさかの土木業界!
概要
- 中堅ゼネコンの「安藤ハザマ」がtensorflowを使ってトンネル堀り中の切削断面を判断。地質評価に活かす。
- トンネルを掘り進めたときにできる切削断面の画像と、発破をかけた時に生じる弾性波速度データ(衝撃波みたいなもの?)を元に深層学習し、「岩盤の硬さ」を判定させる
- 地質専門家が現場にいなくても、品質や追加工事の必要性などを判断できるようにするのが目標
- 識別精度は、地盤の硬さの3分類法では86.7%の精度、より細かく分類する10分類法での56.5%
詳細要約
- 平坦な土地でのボーリングによる地質調査とは異なり、トンネル工事では横方向に掘り進めると地質が変化するという難しさがある
- そのため、地質専門家が現場に出向き切削現場の環境を総合的に判断し「岩盤の硬さ」を評価。発破などを判断材料にする。
- そういった専門家は出張の年間頻度がかなり高く大変。機械に置き換えたいというニーズあり
- トンネル工事現場では1日1回、数メートル掘削が進むたびに切削断面の写真を撮影し、進捗管理として記録していた
- さらに地盤強度の指標の一つである「弾性波速度」を測定している
- 安藤ハザマは発破と同時にその衝撃から生じる弾性波速度を精密に算出する「TFT探査」という技術で強みを持つ
- (ちなみに、専門家ならTFT探査をしなくても切削断面を観察するだけで弾性波速度を推定できる(ドヤ))
- 肝心の識別精度は、地盤の硬さの3分類法では86.7%の精度、より細かく分類する10分類法での56.5%
- 画像の撮影は一般的なデジカメで撮影
- なので、鮮明に写っているものもあれば、暗く写っているものもある
- しかし「色は思ったほど精度に影響せず、形状で判定されているようだ」
- また、画像データだけでは「温泉の熱の影響で軟弱になっている地質」などを正確に判定できない、などの課題もある
- とある現場では、鮮明な画像を撮れる「ハイパースペクトルカメラ」を導入してみた
- 今後、複数の現場からネットワーク経由で切削断面の写真を集約・蓄積する仕組みを整え学習精度を上げたい
- 「2017年3月末をメドに、工事現場で運用を始められる段階に持っていきたい」
以前書いた「TensorFlowでキュウリ識別」もエキサイティングだったけど、土木現場での活用事例は思いもよらなかったので非常に面白い。機械学習とは縁遠そうな分野にいきなりぶっこんでくる系は最高にかっこいい。
(追記)
土木系では他にこんなのもあるよとSNSコメントで教えてもらった話。
Droneで建設現場の空撮画像を撮影・分析し、空撮画像と設計図とを比較して進捗状況を確認したり建設ミスやエラーを発見することができるサービスがシリコンバレー系ベンチャーから提供されているそうです
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